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令和5年茅野市議会6月定例会招集挨拶

​本日、6月定例会の開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

6月1日深夜から3日早朝にかけて、台風2号からの暖かく湿った空気が前線に流れ込んだ影響で、全国的に大雨に見舞われました。茅野市では、1日深夜の降り始めから3日朝に降り止むまで、約36時間で160mm前後の雨が降りました。これは、6月一か月に降る雨の量の平均の約1.4倍にあたり、一時、江川橋で氾濫危険水位を超えるなどの状況となりました。

茅野市では、2日午前9時10分に、災害警戒対策本部を設置し、その後の降雨状況により、2日午後には、災害対策本部に移行し、全庁体制で警戒に当たりました。小江川では、2日午後1時36分に小江川の水を上川に排水するポンプゲートを稼働させるとともに、内水氾濫対応として排水ポンプ車による排水を行いました。

また、諏訪湖流域下水道豊田終末処理場に大量の雨水が流入した結果、下水の処理能力が限界を超え、茅野市においても、一部の地域でトイレが流れにくくなるといった影響が出ました。このことは、下水道の供用開始から40年以上が経過したことに伴う下水道管の老朽化が要因の一つと考えられます。老朽管の布設替えには、市としても多額の投資が必要になるわけですが、諏訪湖流域全体の課題として、長野県と諏訪6市町村全体で対策を検討していかなければならないと考えております。

道路のり面崩壊の様子

今回の大雨により、河川の洗掘や農地の法面の崩落を中心に被害が発生しており、現在、その状況を取りまとめているところですが、幸いにも、人的、また、建物への被害報告はありませんでした。今議会中、被害状況がまとまり次第、復旧に要する補正予算を追加提案させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

さて、本日は、二期目最初の定例会開会日でありますので、二期目を迎えるにあたり、私のこれからのまちづくりに対する想いについて、二点ほど触れさせていただきます。

 

一点目は、一期目の4年間、コロナ禍の影響もあり、市民の皆さんと直接交流する機会は少なかったわけですが、それでも様々な団体の皆さんや、区・自治会の役員の皆さんなどとお話をする中で、強く感じたことがあります。それは、人口減少、特に様々な活動の中心を担う働き盛りの世代の減少により、団体活動や区・自治会活動の担い手の固定化などが進み、それらの活動自体が硬直化してしまっている、という点です。

一例として、公民館分館活動があげられます。以前は、生活の現場に一番近い各区・自治会の公民館において、生活に密着した活動が盛んに行われておりました。その活動は、文化的なものに限らず、福祉や教育に関係するような活動も行われていたと認識しています。しかしながら、現在は、前例踏襲のような活動が主流となり、地域課題を自分事として捉え、自ら解決しようとする気風が薄れてきているのではないか、と感じるようになりました。

これは公民館分館活動に限ったことではなく、福祉や環境、教育といった分野別の活動、いわゆるパートナーシップのまちづくりでも同じことが言えると思います。

パートナーシップのまちづくりが始まり、20年以上が経過する中で、時代の移り変わりに伴い、同じ分野における課題も当然変化してきています。しかし、組織や人員の固定化により、制度疲労が起こり、課題の変化に対応できていないのではないかと感じることもありました。

いわゆる公民館活動と、福祉や環境、教育といった分野に関わる市民活動とを分けて考える必要はあるのか、私はないのではないか、と考えています。生活に密着した地域の課題を自分事として捉え、その課題の解決に向け、住民が自ら学び、その学びを周囲に還元していくという、真の住民自治を構築していければと考えています。そのためには、住民やそれぞれの活動に携わる方の考え方や意識も変わる必要もあると思います。非常に手間と時間がかかると思われますが、焦ることなく、じっくりと話をしながら取り組んでいきたいと考えているところであります。

県民対話集会の様子

二点目は、行政のあり方、進め方、住民との関わり方を変えていくということです。

先ほどお話ししたように、活動が硬直化しているのは、公民館活動や市民活動に限ったことではありません。市の行政のあり様もまた、硬直化していると感じています。

行政を取り巻く環境も、日々刻々と変化しており、市が抱える課題も多様化、複雑化しています。一方で、職員の人手不足は恒常化し、なかなか自ら新しいことにチャレンジするという流れが出にくい状況にあると感じています。

財政状況を見ましても、既存の事業の実施や既存施設の維持管理といった固定経費に多くの予算が費やされ、財政構造の硬直化が長年の課題となっています。

このままの状況が続くと、持続的なまちづくりを進めていくことが難しくなる恐れがあります。そこで、茅野市を持続可能な自治体にしていくため、行政運営のあり方や財政の仕組みを転換していくことを優先的に進めていきたいと考えています。

 

5月1日、私の二期目の初登庁式の際、職員に対して、江戸時代の大名、上杉鷹山公の話しをさせてもらいました。

鷹山公は、1767年、16歳で9代目米沢藩主となりました。米沢藩は、関ケ原の戦いで、会津120万石から米沢30万石に減封され、3代目藩主の急死などにより、更に半分の15万石に減らされました。しかし、120万石時代からの多くの家臣を抱えており、鷹山公が藩主になる頃の藩財政は大赤字で、多額の借金も抱えていました。藩主になった鷹山公は、早速、藩政改革に取り組みます。

鷹山公の取組は、非常にシンプルでありまして、身の丈に合った規模に藩のまちづくりのあり方を変えていった、ということです。大規模な倹約を趣旨とした大倹約令を発布しました。領民に倹約を求めるだけでなく、鷹山公自らも進んで生活費を切り詰めました。大倹約令の中で鷹山公は、「大倹約を行えば、そのときはとても不自由に感じるだろう。しかし、長く家を保ち、心安く暮らすために倹約を行うのである。このことを考えれば、今の不自由は、不自由とも思わないだろう。」と語っています。

そして、鷹山公の改革の目的は、領民にしわ寄せを強いる藩の立て直しではなく、領民が豊かになり、領民が幸福となることにありました。

倹約を進める一方で、鷹山公は、藩の経済的な体力をつけることも進めました。「備籾蔵」(そなえもみぐら)という非常用の食米の備蓄を進めるとともに、灌漑(かんがい)用水路の開発などに伴う新田開発や、米沢織と言われる機織り、製塩、製紙といった産業を興し、殖産興業を進め、米沢藩の財政を立て直していきます。

また、鷹山公は、「学問は国を治めるための根元である。」という考えのもと、「興譲館」(こうじょうかん)という学校を設立し、人材育成に取り組むとともに、藩政では、人事の抜擢を行うなど、藩政のあり方を変えていきました。

このように、鷹山公は、目先の繁栄を捨て、将来の存続を志向するための藩政改革を進め、自身が引退した後には、貯金ができるまで藩財政を回復させました。

就任あいさつの様子

その当時の米沢藩と、現在の茅野市が同じ状況であるというわけではありませんが、我々がこれからやるべきことは、まさに鷹山公が行ってきたことと同じではないかと考えています。

茅野市が持続可能な自治体であり続けるために、短期的な課題と中長期的な課題をしっかり整理し、行財政改革に関する全体的な計画をたてていきたいと思います。そのうえで、市民の皆さんと必要な情報を共有し、協議を重ね、しっかりとご理解をいただいて、共に新しいまちづくりを進める体制をつくっていきたいと考えています。

行財政改革というと、歳出をどんどん切り詰めていく、というイメージを持ってしまいますが、そうではなく、10年後、20年後の茅野市が、夢を語ることができる「まち」であるため、今ある行政サービスのうち、何を残していくのか、何を我慢するのか、そこを議論し、行政や財政の仕組みを転換していく、そのように考えています。

また、まちづくりは「人」が進めるものです。「人」は、市民であり、職員でもあります。公民館活動や地域の活動をとおして市民力を高めていく、また、職員研修をとおして、職員の人材育成を進める。こうして将来の茅野市を担っていく市民や職員を増やしていく、そんな取組を進めていきたいと考えています。

 

この二点について、二期目の4年間をかけて取り組んでいきたいと考えておりますので、市民の皆さん、また、議員におかれましては、ご理解とご協力をいただきたいと考えています。

 

鷹山公が残した有名な言葉があります。「為せば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人の なさぬ成りけり」。この「成らぬは人の なさぬ成りけり」の部分が私は昔から好きなところなわけでございますが、人が何かを成し遂げようという意思を持って行動すれば、何事も達成に向かうものである。ただ待っていても、行動を起こさなければ良い結果には結びつかない。行動することの大切さを説いた言葉です。この言葉を肝に銘じて、「たくましく やさしい しなやかな 交流拠点 CHINO」の実現を目指し、新たな決意と覚悟をもって誠心誠意、まちづくりに取り組んでまいたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

さて、本日、ご提案申し上げます案件は、全部で18件であります。その内訳は、

 

専決処分案件   6件、

事件決議案件   4件、

人事案件     1件、

条例案件     1件、

予算案件     1件、

報告案件     5件  であります。

 

まず、専決処分案件ですが、

議案第25号は、茅野市と富士見町との間の学習障害者等通級指導教室の事務委託の廃止の専決処分の承認を、

議案第26号は、茅野市税条例の一部を改正する条例の専決処分の承認を、

議案第27号は、茅野市国民健康保険税条例等の一部を改正する条例の専決処分の承認を、

議案第28号は、茅野市国民健康保険条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の専決処分の承認を、それぞれお願いするものであります。

議案第29号は、令和4年度茅野市後期高齢者医療特別会計補正予算第2号の専決処分の承認をお願いするものであります。後期高齢者医療保険料が当初の見込みより増加したことに伴い、後期高齢者医療広域連合への納付金を追加したものであります。

議案第30号は、令和5年度茅野市一般会計補正予算第1号の専決処分の承認をお願いするものであります。新型コロナワクチンの接種体制の整備と、子育て世帯生活支援特別給付金の支給のために必要な事業費を追加したものであります。

 

次に、事件決議案件ですが、

議案第31号は、令和3年度永明小中学校校舎建設建築主体工事の変更請負契約についてお願いするものであります。

議案第32号から議案第34号は、市道路線の廃止についてお願いするものであります。

 

次に、人事案件ですが、

議案第35号は、茅野市固定資産評価審査委員会委員選任の同意を求めることについてであります。

 

次に、条例案件ですが、

議案第36号は、茅野市廃棄物処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例についてお願いするものであります。

 

次に、予算案件ですが、

議案第37号は、令和5年度茅野市一般会計補正予算第2号についてであります。

歳出の主なものといたしましては、

電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金支給事業費では、物価高騰の影響を強く受ける低所得世帯の負担軽減を図ることを目的に、一世帯当たり3万円の給付金を支給するために必要な経費の補正増、

観光誘客宣伝事業費では、インバウンドの本格的な回復を図ることを目的に、小津安二郎監督生誕120年に関連した観光コンテンツ作成委託料の補正増、

エネルギー価格の高騰などに伴い、経営が厳しさを増している茅野市民館と茅野市運動公園国際スケートセンターの指定管理者へ支援金を交付するための補正増、

その他、農業への人材の呼び込みと定着を図ることを目的とした、新規就農者への農業次世代人材投資事業補助金の補正増や、自主防災組織がテントや発電機といった備品を購入するための経費を支援する自主防災組織防災活動強化事業補助金の補正増など、全部で10の事業について補正を行い、歳入歳出予算のそれぞれに2億9,679万8千円を追加して、歳入歳出予算の総額を、348億7,951万5千円とするものであります。

 

次に、報告案件ですが、

報告第2号は、令和4年度茅野市一般会計予算繰越明許費繰越計算書について、

報告第3号は、令和4年度茅野市水道事業会計予算の繰越について、

報告第4号は、令和4年度茅野市下水道事業会計予算の繰越について、それぞれご報告をさせていただくものであります。

報告第5号及び報告第6号では、茅野市総合サービス株式会社、株式会社地域文化創造の経営状況につきまして、それぞれご報告をさせていただくものであります。

 

以上、議案の概要を申し上げました。詳細につきましては、この後、部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議をお願いいたします。

 

最後に、市民の皆様、議員各位のご理解とご支援をお願い申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。

茅野市長 今井 敦

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