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本日、9月定例会の開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
日本付近に居座った前線の影響により、8月11日に降り始めた大雨は、各地で統計開始以降、最大の雨量を観測し、広い範囲で河川の氾濫や土砂災害、浸水被害などを引き起こしました。
茅野市では、8月13日の降り始めから15日までの三日間で、白樺湖において346.5ミリの雨量を観測し、8月一カ月の平年値の約2倍の降雨量を記録しました。
8月15日、午後1時5分には、緑の村別荘地を対象に、警戒レベル4の「避難指示」を発令し、最大で11世帯、15人の方が、北山小学校に設置した避難所に避難されました。
幸いにも、茅野市では、人命にかかわるような大きな被害はなかったわけでありますが、岡谷市で民家の裏山が崩れ、土石流が住宅1棟に流入し、母子3人がお亡くなりになるなど、全国で10人の方がお亡くなりになり、多くの方が避難所での生活を余儀なくされています。
改めて犠牲になられた方々に対し、謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
近年、異常気象が多発しておりますが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8月9日に公表した報告書によると、人間の活動を起源とする気候変動が世界中の全ての地域で影響を及ぼしており、今後、熱波や大雨、干ばつといった前例のない異常気象は、地球温暖化の影響により、さらに拡大すると警告しています。
地球温暖化による異常気象の発生は、全人類の共通の課題であるといえます。気候変動のリスクを正面から受け止め、全ての人が危機感を共有し、温室効果ガスの排出量の抑制に向けた取組を加速していく必要があると考えております。
さて、新型コロナウイルス感染症は、感染力が極めて強いとされるインド由来のデルタ株の蔓延により、感染の拡大に歯止めがかかっておりません。
諏訪地域でも、県外の往来をきっかけとして、家庭内や職場内での感染拡大が続き、8月13日には、県独自の感染警戒レベルが「5」の「特別警報2」に引き上げられました。
警戒レベルの引き上げに伴い、酒類を提供する飲食店へは、時短営業や休業の要請が行われています。
ただでさえ経営が厳しくなっている飲食店が、更なる苦境に立たされております。
そのような状況の中、茅野市内の飲食店では、新型コロナウイルス感染症対策認証制度「茅野あんしん認証EAT」の取組が進められています。
この制度は、ちの観光まちづくり推進機構が進めているもので、多くの人が安心して飲食店が利用できるよう、医師の監修による実効性の高い基準と研修体制を整備しております。
この制度の大きなポイントは、諏訪食品衛生協会の指導員が「あんしんサポーター」として飲食店を巡回訪問し、新型コロナ対策のアドバイスやサポートを行うというところにあります。
コロナ対策を人に任せず、まさに我が事として捉え、対策に取り残される飲食店がないよう、同じ飲食店の関係者がサポーターとして相談やサポートを行い、市内飲食店のコロナ対策全体の底上げを図っております。
その上で、茅野市としては、あんしん認証EATの基準を満たすための備品等の購入に対する補助や制度の周知といった点で、支援を行っております。
民間が主導的に取り組み、それを行政が支援するという、パートナーシップのまちづくりの本来の取組が実践されております。
新型コロナウイルス感染症の終息に向けた先行きは見通せないわけでありますが、ワクチン接種を着実に進めるとともに、この第5波を乗り越えるための対策を優先しつつ、コロナの状況が落ち着いた際には、飲食店や宿泊業者をはじめとする市内経済の立て直しに向け、その方策を今から準備していきたいと考えております。
また、そのことと並行し、ポストコロナへの転換を見据え、市民生活の安全、安心を確保しながら、市民目線で便利で暮らしやすさを実感できるまちづくりに向け、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用や行財政改革を進め、「たくましく、やさしい、しなやかな茅野市」の実現を目指して、市民の皆さんと一緒に検討を進めてまいりたいと考えております。
さて、この9月議会は、いわゆる決算議会であります。令和2年度の茅野市の決算状況について申し上げます。
一般会計につきましては、歳入決算額で325億5,430万円、前年度と比較しまして59億5,910万円、22.41%の増となりました。
歳出決算額では、315億9,065万円、前年度と比較して56億6,347万円、21.84%の増となりました。
新型コロナウイルス感染症対策として実施した特別定額給付金事業の実施などに伴い、歳入、歳出ともに過去最高の決算額となりました。
歳入歳出差引額では、9億6,365万円、令和3年度へ繰り越した財源を除いた実質収支額では、8億7,861万円の黒字決算となりました。
また、一般会計以外の全ての特別会計におきましても黒字決算となりました。
歳入の主なものの状況を申し上げます。
基幹収入となる市税につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、法人市民税が約15%減少するなど、市税全体では、85億5,516万円の収入となり、前年度と比較して、1億628万円、率にして1.23%の減少となりました。
一方、地方交付税は、前年度と比較して3億9,025万円、6.57%増の63億3,160万円となりました。
その他歳入の主なものとして、国庫支出金が、特別定額給付金事業費補助金の皆増などにより、前年度と比較して286.12%増の87億7,587万円、市債が、保育園改修事業や小中学校の空調設備整備事業が終了したことなどにより、前年度と比較して33.49%減の19億4,580万円となりました。
次に、歳出について申し上げます。
主な事業としまして、ハード面では、永明小中学校建設事業、総合体育館の床改修工事、茅野駅西口駅前広場周辺整備、車山山頂への展望テラスの設置、小江川の雨水浸水対策などを進めたところであります。
ソフト面では、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した、市独自のくらし・経済対策として、プレミアム付き商品券補助事業、宿泊施設応援事業「ちの割」、中小企業制度融資の拡充などに取り組むとともに、ポストコロナを見据えた新たな事業として、新地域公共交通実証運行、GIGAスクールの推進、ワーケーション等サービス環境整備支援事業などにも積極的に取り組みました。
なお、令和2年度決算に基づく茅野市の健全化判断比率と資金不足比率につきましては、後ほど報告案件としてご説明させていただきますが、いずれも早期健全化指標を下回っており、健全財政が保たれているという結果となりました。
一方で、決算としては、昨年度に引き続き財政調整基金を取り崩す結果になるなど、健全化判断比率といった数値以上に厳しい決算であったと考えております。
また、人件費や扶助費、公債費といった義務的性格の経常経費に、市税や交付税といった一般財源がどの程度充当されているか見ることで、自治体の財政構造の弾力性を測定する経常収支比率につきましては、令和2年度決算で、90.4%となりました。
この数値が高ければ高いほど、自治体が自由に使えるお金が少ない、財政構造の柔軟性に欠けるということになります。
令和元年度決算と比較すると、2.4ポイント、数値は改善いたしましたが、依然、高い状況が続いております。
デジタルトランスフォーメーションの推進を含む行財政改革を進めることで、財政構造の硬直化の改善を図ってまいりたいと考えております。
さて、本日、ご提案申し上げます案件は、全部で22件であります。その内訳は、
まず、専決処分案件ですが、議案第51号は、令和3年度茅野市一般会計補正予算第7号の専決処分の承認をお願いするものであります。
8月13日からの大雨による被害に係る災害復旧事業及び新型コロナウイルス感染症に係るくらし・経済対策としての事業者支援を早期に実施するために必要な事業費を追加したものであります。
次に、事件決議案件ですが、議案第35号から議案第37号は、市道路線の廃止についてお願いするものであります。
次に、人事案件ですが、議案第38号は、茅野市等公平委員会委員選任の同意を求めることについて、議案第39号は、茅野市教育委員会委員任命の同意を求めることについて、それぞれお願いするものであります。
次に、予算案件ですが、議案第40号は、令和3年度茅野市一般会計補正予算第8号についてであります。
歳出の主なものといたしましては、企画費の一般経費及びデジタル化推進事業費では、茅野市デジタルトランスフォーメーション基本構想の策定に向けた、地域プロジェクトマネージャー任用に伴う会計年度任用職員報酬やデジタルトランスフォーメーション基本構想策定委託料などの補正増、
地域公共交通事業費では、通学・通勤バス実証運行の延長、拡充に伴う実証運行委託料などの補正増、
商店街活性化事業費では、消費喚起及び事業者支援を目的に茅野市商業連合会が行う「地域を元気にするキャンペーン」事業を支援するための補助金の補正増、
観光振興支援事業費では、白樺湖の大規模廃屋の撤去により、白樺湖地区再生事業に取り組む柏原財産区を支援するための、柏原財産区特別会計繰出金などの補正増、
その他に、地域創生推進事業費、観光誘客宣伝事業費、交通安全対策事業費、道路・河川維持修繕事業費、生活道路整備事業費で補正増を行うとともに、県の元気づくり支援金の内示があったことなどに伴う財源振替を行うものであります。
その結果、歳入歳出予算のそれぞれに3億4,306万6千円を増額して、歳入歳出予算の総額を285億1,437万1千円とするとともに、債務負担行為補正1件と地方債補正3件をお願いするものでございます。
議案第41号は、令和3年度茅野市後期高齢者医療特別会計補正予算第1号について、後期高齢者医療広域連合納付金の増額補正をお願いするものであります。
続いて決算案件でありますが、
議案第42号、令和2年度茅野市一般会計歳入歳出決算の認定につきましては、先ほどその概要につきまして申し上げました。
議案第43号と議案第44号は、令和2年度の茅野市特別会計の歳入歳出決算の認定について、議案第45号から議案第47号までは、令和2年度の茅野市公営企業会計の決算の認定及び剰余金の処分について、議案第48号から議案第50号までは、令和2年度の茅野市財産区特別会計の歳入歳出決算の認定について、それぞれお願いするものであります。
次に、諮問案件でありますが、諮問第1号は、人権擁護委員の推薦につき意見を求めることについて、であります。
次に、報告案件でありますが、報告第8号は、損害賠償の専決処分のご報告をさせていただくものであります。
報告第9号は、茅野市債権管理条例の規定に基づき、債権放棄についてご報告させていただくものであります。
報告第10号は、令和2年度決算に基づく財政の健全化判断比率と公営企業会計の健全化を判断する資金不足比率についてご報告させていただくものであります。
報告第11号は、株式会社ベルビアの経営状況について、ご報告させていただくものであります。
以上、議案の概要を申し上げました。詳細につきましては、この後、部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議をお願いいたします。
最後に、市民の皆様、議員各位のご理解とご支援をお願い申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。
茅野市長 今井 敦