普段は見ることができない「仮面の女神」の足の裏
どっしりとした脚で踏ん張り、胸をそらせている姿勢が印象的な国宝「土偶」、愛称「仮面の女神」。いつも立った姿勢で展示していますので、この太い脚の「足の裏」がどうなっているのか、お見せすることができません。せっかく国宝に指定されたので、普段見ることができない「足の裏」をご紹介します。
「仮面の女神」のレントゲン写真
縁どられたように濃淡の差があり、空洞だとわかる
上の写真をみると、中央に孔(あな)があいているのがわかります。「仮面の女神」は中が空洞で作られた土偶です。ということは、焼き上げて完成させるときに、空気抜きの孔をあけておかないと爆発してしまうわけです。
仮面の女神の足の裏
上の図を見てください。左右の足の裏の中央に、二重丸のようなものが確認できます。これは、足の裏にあけられた孔です。
縄文時代のひとびとが「仮面の女神」をどのように使っていたのかを詳しく知ることはできません。しかし、どっしりとした脚、そして頭頂部から脚に向かって全体的に三角形状になっているシルエットから考えると、「立てておく」のがいつもの姿だったのでしょう。だから、「足の裏」は縄文時代でも同じように普段見えない部分だったはずです。つまり、「足の裏」の孔には装飾的な意味合いはないに違いないのです。やはり空気抜きの孔だとするのが自然です。
上の図をよく見ると、「足の裏」のほかに股間にも孔があるのがわかります。展示されている「仮面の女神」を見ると、股間の孔も「仮面の女神」を立てた状態では見えないことに気がつきます。これもまた空気抜きのための孔だと言えます。場所が場所なので、もう少し意味がある可能性は否定できませんが。
さて、上に示したレントゲンの写真を見ると、ほかにも孔があいているところがあることに気がつくと思います。直径の違いや模様との位置関係等、さまざま考えてみると、それぞれの孔にはそれぞれ意味があったかもしれません。