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国宝「土偶」(仮面の女神)

国宝「土偶」(仮面の女神)写真

出土日:平成12年(2000年)8月23日
国宝指定日:平成26年(2014年)8月21日

「仮面の女神」の愛称をもつこの土偶は、茅野市湖東(こひがし)の中ッ原遺跡から出土した、全身がほぼ完存する大形土偶です。高さは34センチメートル、重さは2.7キログラムあります。顔に仮面をつけた姿を思わせる形であることから、一般に仮面土偶と呼ばれるタイプの土偶です。今から約4000年前の縄文時代後期前半に作られました。
遺跡のほぼ中央にある、お墓と考えられる穴が密集する場所で、穴の中に横たわるように埋められた状態で出土しました。右足が壊れて胴体から外れていましたが、これは人為的に取り外したことが明らかになりました。お墓に一緒に埋納されたものか、あるいはこの土偶だけが単独で埋められたものかは、今後の研究を待たねばなりません。
「仮面の女神」の顔面は逆三角形の仮面がつけられた表現になっています。細い粘土紐でV字形に描かれているのは、眉毛を表現しているのでしょうか。その下には鼻の穴や口が小さな穴で表現されています。体には渦巻きや同心円、たすきを掛けたような文様が描かれています。足には文様はなく、よく磨かれています。この土偶は、土器と同じように粘土紐を積み上げて作っているため、中が空洞になっています。こうした土偶は中空土偶と呼ばれ、大形の土偶によく見られる形態です。
中ッ原遺跡の「仮面の女神」と似た土偶は、長野県辰野町新町遺跡や山梨県韮崎市後田遺跡で出土しています。どちらも20センチメートルほどの大きさであることを考えると、この土偶がいかに大きいかがわかります。

平成26年(2014年)8月21日、国宝に指定されました。

仮面の女神の出土状況(近影)「仮面の女神」の胴体の割れ口にはまり込んだ破片
「仮面の女神」が出土したときのようす(左)と胴体の割れ口にはまり込んだ破片(右)

土偶は、右足が壊れた状態で出土しました。しかも、割れたときにできた破片のひとつが、胴体の割れ口にはまり込んでいました。それ以外の破片も胴体内部や右足の内部に入っていました。もし、この破損が埋めている最中か埋めたあとにできたなら、破片は割れたところかそのすぐ近くにあるはずです。これに加えて、出土したときの向きで胴体と足が接合せず、足を90度以上回転させたところで接合することもわかりました。このため、上で述べたように、わざと足を壊して(取り外して)埋めたのではないか、と考えられるのです。

この出土したようすは、中ッ原縄文公園に見つかったその場所のまま保存展示しています。(穴は見つかったそのままのものですが、土偶は実物ではありません。)

仮面の女神の出土状況(全景)附(つけたり) 国宝土器8点

なお、土偶が埋納された第70号土坑と近接するほかの土坑から、遺体の顔にかぶせたであろう土器が出土しています。そのうちの8点が附(つけたり)として国宝指定を受けています。当館の常設展示室Bに展示していますので、土偶と合わせてご覧ください。

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