最新の受賞者
第25回受賞者:小川 忠博氏(おがわ ただひろ、東京都)
尖石縄文文化賞条例にもとづく同賞選考委員会は、今井敦茅野市長の諮問を受け、8月31日に開催された。今回、選考・審査の対象となったのは、個人計6人である。
候補者の内訳は、40歳代から80歳代におよび、研究歴や所属機関は多彩で、「受賞の対象となる研究及び活動の業績」についても、宮坂英弌が目指した縄文時代のすぐれた研究と活動を示すものであった。このことは、本賞が広く学界等一般に周知された結果をよく示すものである。
こうしたすぐれた候補者を得て、選考委員会において慎重な審議を行い、第25回尖石縄文文化賞の受賞者として、小川忠博氏(東京都)を全会一致で推薦することに決定した。
同氏は、縄文土器の周囲をカメラが回転する展開写真の技法を開発し、全国延べ2,000カ所以上をめぐり、30,000枚以上の出土品を撮影した。その展開写真は『縄文土器大観』に掲載され、同書を通じて縄文土器の研究者に広く共有されるところとなり、複雑で立体的な縄文土器の文様構造を研究するうえで極めて有効なものとして、縄文土器研究の進展に大きく貢献したと言える。そうした展開写真だけでなく、遺跡やストーンサークルなどの遺構、土偶や土器をさまざまな角度から撮影し、縄文文化の魅力を一般の方にもしっかり伝えてきた。写真集『縄文美術館』や『土偶美術館』、各地の博物館や美術館で開催した写真展が、同氏にしかできなかった普及活動を物語っている。
こうした氏の活動は、研究者とは異なる切り口で縄文文化の魅力を広く一般に伝えるものとして高く評価でき、尖石遺跡の調査や竪穴住居の復元、尖石考古館の建設を通じて、縄文文化の解明だけでなく、その魅力を広め、文化遺産として継承していこうと取り組んだ宮坂英弌の業績を顕彰する宮坂英弌記念尖石縄文文化賞の趣旨に沿うものであり、まことにふさわしい受賞者である。
令和6年(2024年)8月31日
宮坂英弌記念尖石縄文文化賞選考委員会
委員長 小林 達雄
第25回受賞者小川忠博氏
授賞式
第25回尖石縄文文化賞授賞式の日程が決まりましたのでお知らせいたします。
「第25回宮坂英弌記念尖石縄文文化賞授賞式・記念講演」
日時:令和6年(2024年)11月16日(土曜日)午前10時30分~正午
場所:尖石縄文考古館ガイダンスルーム