第1次茅野市小中学校管理計画
(1)背景
茅野市が保有する公共施設は、昭和40年代後半から平成初期にかけての建築が多くを占めており、総延べ床面積は約29万平方メートルで、平均築年数は約26年、建築後30年以上経過した公共施設が全体の約41%(約11.9万平方メートル)を占めています。そのうち、小中学校施設は総延べ床面積の約32%(106棟約9.2万平方メートル、軽微な物置等を含めると9.4万平方メートル)と大きな割合を占め、昭和40年代から60年代にかけて一斉に整備されたものが多く、築年数が30年以上の施設は、約75%(6.9万平方メートル75棟)を占めています。毎年多額の費用を費やし維持管理・修繕工事を実施していますが、雨漏り対策、危険防止対策および不足施設充実等の整備など、緊急対策工事・事後対策工事に集中して、児童、生徒の学習環境整備の工事までは対応ができていない現状で、建築後40年以上経過する学校もあり、老朽化の進捗が深刻な状況となってきています。
今後、小中学校施設を建築後40~50年で継続的に建て替え事業を実施した場合をシミュレーションすると、12~19年後に年間2校から4校という建て替え事業期となり、工事費もピークを迎え、厳しい財政負担が予想されます。全国的にも学校施設の老朽化対策は大きな課題となっており、国でもその対策を検討しています。文部科学省では学校施設のあり方に関する調査研究協力者会議を立ち上げ、平成25年(2013年)3月に「学校施設の老朽化対策について~学校施設における長寿命化の推進~」の基本的方針が示されました。その後、平成25年(2013年)11月に「インフラ長寿命化計画」が策定され、政府全体として、国民の安全・安心を確保し、中長期的な維持管理・更新等に係るトータルコストの縮減や予算の平準化を図る方向性が打ち出されました。
茅野市においても、この計画に基づき、公共施設やインフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中期的な取組の方向性を明らかにする計画として、(1)安全・安心の確保、(2)長寿命の推進、(3)施設総量の縮減を基本方針とした計画であります「公共施設等総合管理計画」(以下「総合管理計画」という。)を平成29年(2017年)2月に策定しています。
(2)目的
小中学校施設は地域住民にとって最も身近な施設であり、生涯にわたる学習、文化、スポーツなどの活動の場として、また、地震等の非常災害時には基本避難所としても重要な役割を担っている拠点施設でありますので、統廃合は行わないものとします。しかしながら、「総合管理計画」の基本方針にもありますように、人口減少による生産年齢人口の減少に伴う市税収入の減少が想定されるなか、保有しているすべての施設を保有し続けることは困難な状況です。また、従来の建て替えを中心とした老朽化対策では、財政的に対応しきれない施設が大幅に増加することが見込まれます。
そこで、小中学校施設については、原則として長寿命化改修(以下「リノベーション」(※1)という。)により施設整備をしていくこととします。リノベーションは既存の構造躯体(※2)を引き続き利用していく改修であります。建て替えより工事費が安価で、廃棄物や二酸化炭素の排出量が少なく、建て替えた場合と同等の教育環境の確保が可能です。リノベーションを基本に、第3次茅野市こども・家庭応援計画(どんぐりプラン)、小中一貫教育など関連計画との整合を図り、子どもたちが安全・安心かつ良好な環境で学習することができるように快適な学習環境の提供と、日常的な定期点検による、適正な施設管理を行いながら、ライフサイクルコストができるだけ掛からない整備事業を確実に実施していくことを目的とした「第1次茅野市小中学校管理計画」(以下「本計画」という。)を策定します。
(3)計画期間
本計画の期間は、「総合管理計画」の見直し時期を踏まえ、平成39年度(2027年度)までの10年間としますが、それ以降については、建築後40~50年経過後に原則としてリノベーションにより更新していくものを基本とします。
なお、今後の社会情勢の変化、小中学校施設の建物躯体の劣化状況等に対応する必要もあることから、随時見直しを行い、計画変更も可能なものとします。
また、本計画については、今後の学校のあり方を検討していく中で、令和8年度を目安に方向性を示し、計画の見直しを進めてまいります。
(4)対象施設
茅野市内小中学校の本計画における対象施設を以下に示します。
学校名 | 代表建築年 | 所在地 | 標高(m) | 在籍児童生徒数(人) |
---|---|---|---|---|
永明小学校 | 令和6(2024) | 茅野市塚原1-9-1 | 793m | 519人 |
宮川小学校 | 昭和51(1976) | 茅野市宮川4632 | 808m | 664人 |
米沢小学校 | 昭和56(1981) | 茅野市米沢4188 | 879m | 238人 |
豊平小学校 | 昭和58(1983) | 茅野市豊平2340 | 950m | 211人 |
玉川小学校 | 昭和54(1979) | 茅野市玉川3674 | 905m | 644人 |
泉野小学校 | 昭和57(1982) | 茅野市泉野2643 | 1027m | 83人 |
金沢小学校 | 昭和55(1980) | 茅野市金沢1141 | 850m | 99人 |
湖東小学校 | 昭和57(1982) | 茅野市湖東4982 | 989m | 194人 |
北山小学校 | 昭和60(1985) | 茅野市北山4362 | 985m | 117人 |
永明中学校 | 令和6(2024) | 茅野市塚原1-9-1 | 793m | 315人 |
長峰中学校 | 平成23(2011) | 茅野市宮川11288 | 838m | 372人 |
北部中学校 | 平成6(1994) | 茅野市湖東5643 | 980m | 291人 |
東部中学校 | 昭和61(1986) | 茅野市玉川10030 | 951m | 395人 |
(5)計画の構成
- 学校管理計画策定の概要
- 学校施設の目指すべき姿
- 学校施設の実態
- 学校管理計画の基本的な方針等
- 基本的な方針を踏まえた整備水準
- 10年間における個別実施計画
- 学校施設における設備機器管理計画
- 学校管理計画の継続的運用方針