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縄文時代の土の鈴

楽器の歴史は意外と古い。スロヴェニアでは、43000年以上前の笛があります。ホラアナグマの大たい骨を使ったもので、残存している部分で少なくとも四つの穴があり、音階を出せたともいいます。ネアンデルタール人が作ったもののようです。
縄文時代にも楽器があります。八ヶ岳山麓でも多数見つかる有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)は、太鼓の可能性がある土器です(近年ではすっかり酒造りの道具説が有力ですが)。
土製の笛もあり、動物の形をかたどったものもあります。東北地方でよく見つかります。穴の数はまちまちですが、穴が吹き込み用の穴ひとつしかない場合でも、吹き込む角度を変えると音の高低が変わるものもあるようで、メロディーを奏でていたかもしれません。
八ヶ岳山麓では、土製の鈴が見つかることがあります。茅野市内では、「縄文のビーナス」が出土した棚畑遺跡で土製の鈴らしいものが何点か見つかっていますが、より完全な土製の鈴が長峯遺跡で見つかっています。見た目はおまんじゅうみたいで、なかに粒が三つ入っていて、まわしてみると確かに音が出ます。
ぶら下げて鳴らすような形ではなく、手に持って振るなどしないと音が出ないため、遠くまで響かせることはできなかったと思いますが、縄文時代の意外な奥深さを感じることのできる資料ですね。

茅野市長峯遺跡出土の土鈴茅野市長峯遺跡出土の土鈴 レントゲン写真

長峯遺跡から出土した土製の鈴の写真(左)とそのレントゲン写真(右)

直径約 4 センチ、高さ約3 センチで、何にも装飾がないおまんじゅうみたいな見た目です。レントゲン写真を見ると、なかに粒が入っていることがわかります。

茅野市長峯遺跡の顔面把手付土器の破片 長峯遺跡出土の顔面把手付土器の顔面把手部分

同じ長峯遺跡から出土した顔面把手付土器の顔面把手部分は、中が空洞になっていて、しかもひとつ粒が入っています。振るとカラカラと粒が転がり動きます。これも鈴のような効果があったかもしれません。茅野市内では、米沢の一ノ瀬遺跡出土の土偶頭部の破片の一つが、内部が空洞で粒が入っています。山梨県の釈迦堂遺跡にもこのような資料があります。
当館で提供している土鈴(どれい)の体験をしてみようという方、このような実際の鈴を思い描きながら体験されてみてはいかがでしょうか。
(参考文献:山田光洋1998『楽器の考古学』)

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